JOURNAL

海のアクティビティを、どう選ぶか

はじめに

海のアクティビティは、本来とても楽しいものです。

遊覧、スキューバダイビング、釣り、シュノーケリング。
自然の中に身を置くことでしか得られない感覚があります。
ただ、その楽しさの中には、判断を少しだけ曖昧にしてしまう要素があることも事実です。

毎年、水難事故防止のアドバイスとしていくつか投稿してきておりますが、今年は非常に残念な事故があったことを取り上げながら、私も、皆さんもどのように向き合っていくかについて投稿したいと思います。

私は船舶免許[※1]を持っていて、ダイビングではPADIレスキューダイバー[※2]の認定を取得しています。
また、小さいころからサーフィン、海遊びや川遊びに触れてきました。

いくら資格保有者でも、事故が起こらないように確率を下げるための知識はありますが、実際のところ事故を想定したトレーニングは、ごく一部の想定(天候、状況)しか積んでいないのが現実です。

これにさらに、人を同乗させる、しかも何十人も。

そんな状況がどういうことなのか。
企画する側、乗せる側にも判断するために何を見るべきなのかも同じように大切。

その中で感じているのは、
特別な知識よりも「どう判断するか」のほうが大切だということです。

だからこそ今回は、「危険だからやめましょう」ではなく、
どう選ぶか、どう判断するか、という視点で整理してみます。

まず前提として国土交通省(船舶の運航)、海上保安庁から公式な見解や検証情報がでておらず、あくまで一部の報道の範囲をみた個人主観での想定とさせていただきます、御了承ください。


沖縄転覆の事故を、どう捉えるか

先日、沖縄で船舶の転覆事故があり、乗員十数名が死傷。
大人1名と高校生1名が亡くなるという出来事がありました。
詳細な原因の特定はここでは行いませんが、重要なのは、結果そのものではなく、

その手前にあった判断の積み重ねです。

  • 出航するかどうか
  • その海域で実施するかどうか
  • 天候の変化をどう見るか
  • 参加者側はどこまで理解していたか

こうしたひとつひとつの判断が、最終的な結果に繋がっていきます。


事故は、特別なものではない

こうした事故は、「特殊なケース」として切り離されがちですが、
実際には、日常の延長線上にあります。

小さな違和感。
少しの無理。
なんとなくの安心感。

それらが積み重なった先に、結果として現れることが多い。
だからこそ、これは特別な誰かの話ではなく、
自分(家族)がどう関わるかの話として捉える必要があります。

では、どうすればいいのか

ここで必要なのは、

“どう選ぶか”という視点です。

事前に整えておくこと。
当日に感じる違和感を扱うこと。

この2つが揃って、はじめて判断が機能します。


事前にできること

参加する前に見ておきたいこと

当日の違和感は、事前の理解があるほど気づきやすくなります。

運営団体を見る

実績や口コミだけでなく、

  • 無理をしない運用か
  • 中止判断の基準があるか

を見ることが重要です。

「どれだけ実施しているか」ではなく、
どれだけやめているかもひとつの指標になります。

船長・ガイドを見る

説明の内容に注目します。

  • リスクについて触れているか
  • 質問に対して具体的に答えているか
  • 不確実なことを曖昧にしていないか

安心させるための言葉だけでなく、
判断の前提が共有されているかがポイントです。

エリアと天候

同じ海でも、条件は大きく変わります。

  • 外洋か、湾内か
  • 潮の流れはあるか
  • 初心者向けとは何を指しているか

晴れているかどうかではなく、

  • 風の強さ
  • 波の高さ
  • 変化の予測

とくに「これからどう変わるか」は、判断に大きく影響します。


装備と道具

ライフジャケット[※3]ひとつとっても、

  • 固型なのか
  • 膨張式なのか
  • 常時着用なのか
  • 法令準拠[※4]しているか

で意味が変わります。
それぞれの使い方は?特性理解しているか。

今回の事故で死亡の原因の可能性として
ライフジャケットが船体にひっかかっていたという見解もあるようです。

大切なのは
ライフジャケットは浮力を補うもので、事故にあわないという道具ではないということ。
道具とは想定された使い方や条件、想定に対してのパフォーマンスであり、
事故の有無とは別の話であるということ。


「やめる」という選択肢を持つ

参加する前の段階で、やめることが選択肢として存在しているかを確認しておくことも重要です。
キャンセルのしやすさだけでなく、心理的にやめられる状態かどうか。
それが、そのまま判断の自由度になります。


当日に感じる違和感

当日の違和感は、はっきりした形では出てきません。
だからこそ、「なんとなく」を扱う必要があります。

出航前の違和感

  • 説明が省略されている(リスクを煽るとネガティブになるからかも?)
  • 時間に追われている(早く乗りたい)
  • 質問しづらい空気がある、そんなこと心配してるの私だけ・・?

こうした要素は、小さくても無視しない方がよいサインです。

船体や人数への違和感

  • 船小さくないか?人多くないか?(乗員制限内が安全というわけではない)
  • 人数と配置のバランス

「問題はなさそう」に見えても、どこか引っかかる感覚があれば一度立ち止まる。

天候や海の違和感

  • 思っていたより風がある
  • 波の動きが想像と違う

予報や注意予報を確認[※5]し、事前に見ていた情報とのズレは、
判断のヒントになります。

空気感の違和感

  • 誰も疑問を持たない
  • 流れに乗ることが前提になっている

こうした場面ほど、判断が個人から離れやすくなります。


「これ大丈夫?」と思ったとき

その感覚は、必ずしも正しいとは限りません。
ただ、無視しなくていいものでもあります。
すぐに答えを出さなくても、一度立ち止まること。

それだけでも、選択は変わります。


やめるという判断

途中であっても、
自分だけであっても、

やめるという選択はあなた自身に存在します。

それはネガティブな行動ではなく、
状況に対するひとつの判断です。


参加中にも意識を継続する

いざ出発すると気分はあがります。
生き物がいれば尚のこと、写真をとったり、餌付けしたり。

そんなときに安全な走行をしているか、自分の体力的に安定して立てるか、
まわりに他の船がいないか、天気はどうか。

事前に意識したことを継続して断続的に個人個人また、保護者が行い続け、
ちょっと早すぎる、気分が悪い、頭ぶつけた、救命胴衣がちゃんとしているか、
少しでも不安になったら、迷うことなく船長やスタッフに言うこと。


トラブルが起きたとき

最低限、意識しておきたいこと

もしものときは、

  • まず自分の浮力を確保する(ライフジャケットが膨らんだか、捕まるものはあるか)
  • 船内にいる場合は甲板にでる(閉じ込め防止)
  • 周囲と離れすぎない

こうした基本が、結果を大きく左右します。


通報と応急対応

海上での緊急通報は 118(海上保安庁)[※6] です。
現場では、指示を出す人と動く人の整理が重要になります。

一緒に乗船するひとにどれだけ救命処置[※7] [※8]できる人がいるのか?
自分はできるのか?救命ファーストエイドキットは現場にあるのか?自分がもっているのか?


総評

危険だからやめる。
安全だから大丈夫。

そのどちらでもなく、

そのあいだにある判断何があって、どう扱うか。

遊び方、事前の情報収集をいろいろなサイトを参考[※9]に自分や家族のルールなども検討してはいかがでしょうか。

問いと選択肢

問い

  • 参加する企画にポジティブなことばかりでは?
  • 自分は大丈夫?の根拠は?
  • いままでを振り返りヒヤッとしたことは?

選択肢

  • 事前に確認するポイントを決めてから参加する
  • 主催者にひとつ質問をしてみる
  • 「やめる」を選択肢として持っておく

参考文献・出典・注釈

  1. 項目名
    船舶免許
  2. 項目名
    PADIレスキューダイバーについて
    発行元
    PADI
  3. 項目名
    ライフジャケットの種類
    発行元
    国土交通省
  4. 項目名
    ライフジャケットの着用義務拡大
    発行元
    国土交通省
  5. 項目名
    全国の警報・注意報
    発行元
    気象庁
  6. 項目名
    118
    発行元
    海上保安庁
  7. 項目名
    応急手当講習会
    発行元
    消防庁
  8. 項目名
    救急法
    発行元
    日本赤十字
  9. 項目名
    Water Safe Guide
    発行元
    海上保安庁
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