静かに訪れる水の危険:本能的溺水反応
子供は静かに溺れます。本能的溺水反応と言います。子供は”水深5cmで溺死”します。数秒で。
ライフジャケットは浮いて遊ぶ遊具ではありません(2021年版参照!)。着ていても岩に挟まったり、引き込まれたら浮き上がれません。
救命講習、是非受けてください。大切なので最初に、そして毎年繰り返して言いたいと思います。恒例の水難事故防止投稿です。
先日から猛暑が続き、コロナも落ち着き水辺遊びが盛んになってきましたが、先週あたりから水難事故で子供が亡くなるニュースが激増しているように思えます。
今年も極端な例や比較をしますが御容赦ください。
50%という現実:昨年の水難事故データ
昨年の水難事故件数はおよそ1346件、うち死者行方不明が727人。つまり50%の確率でこの世を去ってしまうことになります。
これは極論ですが、確率だけで言えばお子様が二人いらっしゃったら片方は助からないかもしれないという数値です。

2023年の安全キーワード
今年のキーワードは以下の3つです。
・事故は単独よりもグループの時が多い。
・子供の死亡事故は交通事故に次いで第二位が屋外での溺死
・最も危険な救助方法は飛び込んで助けること!
「みんながいるから安心」は大きな落とし穴
人数が多いと注意が散漫になります。「誰かが見ているだろう」そんな油断が命取りになります。
子供は友達といると無理をします。みんなが深場にいたら行きたくなります。「怖い」や「危ない」と思っても恥ずかしくて言えません。夢中になると危険さに気づけません。
子供の声は波や川の音、笑い声でかき消されてしまいます。大人の真似をして飛び込むなど、リスクのある行動も平気でとってしまいます。
他人の子供を自分の命をかけて助けられますか?泳ぎが得意でも、水の中では無力です。助けようとした大人が亡くなる事故も少なくありません。
子供の死因第2位:屋外での溺死
交通事故は1年中起こりますが、水難事故は主に7〜9月に集中しています。それでも事故数は多く、1ヶ月単位では交通事故より高いことも。
しかも発生すれば50%の確率で死亡または行方不明になるという重大性を、数字だけでなく心でも理解してほしいのです。
交通事故や火事には教育がありますが、水難事故についての教育は極端に不足しています。大人も子供も水の事故について学ぶ機会が少ないのが現実です。
飛び込んで助けるのは「最後の手段」
水難事故にあった時、どうするべきかをご存じでしょうか?「飛び込んで助けた」というニュースは美談として語られがちですが、最も危険な方法です。
救助の優先順位は以下の通りです:
1. 声をかけて大勢に知らせる
2. 浮く物を投げる
3. ロープなど長い物をつかませる
4. 複数人で助ける
5. ボートなどを使う
これらができなければ、泳いで助けるのは本当に最後の手段です。そしてそれには命をかける覚悟と適切な能力が必要です。
事故を「自分ごと」として受け取る
対自然で大切なのは、ニュースや経験談を「自分には関係ない」ではなく「自分にも起こるかもしれない」と捉えることです。
事故防止には、正しい浮き具の装着、事前の安全確認、家庭内のルール作り、そして大人の監視体制が欠かせません。
また、いざという時に対応できる救命処置を学んでおくことも重要です。乳児・幼児にも対応できる上級救命講習の受講をおすすめします。
出来事は一瞬、後悔は一生
ライフジャケットなど安全具を必ず着用し、大人が必ず付き添ってください。スマホはしまって一緒に遊びましょう。子供が寝てからSNS投稿を。
それでは、楽しい水遊びを。今年も過去の投稿を見ていない方はぜひご覧ください。