
今回の視点 – 1杯のありがたみ以外に何を感じる?
「生産」と「創造」のバランスが、文化継承に必要なのかもしれない。
日本を代表する産業は日々ペットボトルでしか見ることができないが、あの500mlの小さな世界を拡大してみるかのように現地に行ってみると、「1杯のありがたみ」だけを覚えるだけでは、物足りないし、もったいない。作るモノは同じでも文化継承と、興味、他との違いを可視化して周知する創造(クリエイティブ)は農産業にとってもかかせない要素だと思う。
ふじのくに茶の都ミュージアム ― 茶を“学び・摘み・味わう”場所
茶好きとしては一度は体験したいと思っていた茶摘み。
場所は静岡県掛川茶・牧之原茶で名の高いエリアにある「ふじのくに茶の都ミュージアム」へ。
「茶の都しずおか構想[※1]」の一環として建てられたミュージアムで、お茶の歴史や文化を楽しく学べる施設で、世界のお茶を味わえる体験コーナーや美しい日本庭園、茶室も併設しており、見て、飲んで、体験してお茶の魅力を満喫できます。
本格的なものは時間も労力も大変なので、今回は茶摘み体験と茶葉加工の体験がセットでやることができるのはありがたいということでこちらにお世話になりました。
こんな方にオススメ
- 「季節を楽しみたい、五感で味わいたい」と思っている方
- 「茶摘み体験 静岡」「茶葉 加工 体験」を探している方
- 日帰りでも楽しめる体験を探している方
- お茶や日本文化に興味があり、理解を深めたい方
- 子供の自由研究や自然体験の題材を探している方
- ふじのくに茶の都ミュージアムの口コミ、レビュー、体験談を知りたい方
プランニングの参考
東京からだと休憩をいれて4時間ちょっと遠いので体力的に疲れをためないためには渋滞を避けるのが吉。
それなら是非、早めに出発して現地近くの市場で朝ご飯を食べてから向かうようなタイムラインをオススメします。
- 05:30
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出発
東京から現地までGoogleマップナビでおよそ3時間。
途中軽食や休憩を2回いれるとしたら4時間くらいは想定。この時間に出れば渋滞には一切ハマりません。想定時間:4時間(ナビ上では3時間)
- 09:30
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小川港魚河岸食堂
開店は10時、車は数台停められます。この時点で並んでいる方は、10人ほど特に記帳などはなく並び待ち。待ち時間のトイレは近くに公衆トイレがあります。入り口で食見を購入して席を取りにいく方式ですので、事前にサイトなどでメニューを見ておくと吉。食見売り場の壁にはサイトなどに掲載されてないものもあります。また
魚河岸定食など数量限定のものがあります。天ぷらがあるとかなり時間がかかるようで、グループでいくと早い人が食べ終わる可能性もあり。
GoogleMap
食堂からミュージアムまでは45分程度ですが、途中綺麗な茶畑景色があるので写真をとったり清々しい空気と緑を楽しみながら向かってみてください。 - 12:00
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ふじのくに茶の都ミュージアム 着
1Fがお土産、喫茶があるので休憩したり、お土産の下見などで過ごします。
GoogleMapお土産・カフェ・トイレ
- 12:30
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ミュージアム観覧
お茶の種類、歴史、文化、器からお茶診断などが観覧できます。
ゆったりと見るなら60分以上は確保した方がよいです。ちょっと足りなかったです。所要時間:60〜120分が目安
- 13:30
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茶摘み体験&お茶作り
施設の隣が茶畑。自分で摘んだ茶葉を使ってホットプレートでお茶を作ります。所要時間:90分
- 15:00
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体験終了
※食事などのサブプランに関しては詳細割愛させていただきアクティビティを中心に解説します。
現地の様子


新茶の季節ならではの壮大な景色。緑と青空のコントラストがこの広さで見ることができるのは茶畑ならでは、背丈の低い茶の成育のために高い建物がなく高知にあるので風の抜けもよく「これが味わいたかった!」ともうすでに満足してしまうほど。
茶摘み


茶葉加工

体験はテーブルごとに5〜6名ずつでのグループワーク。先ほど摘んできた茶を全部併せてホットプレートに広げる。この時点では、茶の匂いはほぼしない。

水分を飛ばすために少し押しつけながら、プレートの上で撹拌させながら菜箸で混ぜていく。

2〜3分ほどしたらプレートから取り出し、クッキングシートを広げたテーブルに人数分にわけて、茶を揉んで繊維を壊しながら棒状にしていく。加熱→揉み→加熱→揉み・・・ と繰り返す。

ここまでくるのに40分ほど。焦げないようにプレートにもシートを置き乾燥させる、この時点ではもうお茶の香りに包まれる。

お茶はグループで均等にわけて、パウチに入れる。
1人あたり10gグラム程度とわずかにしかならない(実際に飲むと5回分くらい)
ミュージアム



掲載は最小にさせていただきますが、ゆっくり見ると60分以上かかります。茶に興味が深い方、またお子様の自由研究などに使われる方は120分はあると良いと思います。
個人的には、60種類もの茶葉サンプルがあり、手に取って香りを嗅ぐことができるのは圧巻。
容器には入っているが、かなり香りが飛んでしまってはいるが、違いはわかる程度には残っているので十分に楽しむことができた。
原料は、ツバキ科ツバキ属のチャノキ というのは世界共通。
製造工程が違うだけで、それぞれの国の風土や文化、好みに応じて主体となる加工が異なっている。日本は緑茶だったということ。
今現在は、日本の緑茶市場は、年間約10万tを越え、市場規模は8000億円[※2]ともいわれている。
ほとんど日本のお茶は日本産が多いが、果たして産業が衰退した場合に、海外産のチャノキ原料で加工だけを日本で作った緑茶があったとして。私たちは変わったことに気づくのだろうか?
加工はあくまで原料の結果に過ぎないのか? それとも今飲んでいる緑茶には加工の仕方(創造)で同じような風味や味にすることができるものなのか?ちょっと気になります。 いまは想像しているだけなのだけど、そんな日が近いのかもしれないとふと思いました。
アクセス
東京起点だとナビで3時間程度。東名高速、新東名高速のどちらでもよい。ミュージアム直行であれば新東名高速IC 島田金谷ICから15分、今回のプランのように朝を焼津で食べてから行きたい方は東名高速で焼津→吉田ICでも。こちらだと「道の駅 そらっと牧之原」にも寄れます。
茶畑景色が好きな方は体験あとに、山を西に越えて掛川の方を周遊すると茶畑の中をドライブできるので、そちらも御検討ください。
総評
お茶は場所にもよりますが、4〜5月が主な体験時期となります。(秋にも開催しています。場所によっては通年)台風前の良好な天気を狙って是非体験していただきたいですが、茶摘み時間が短くても長くても熱中症対策はしっかり必要になります。
年齢は小学校に入っていれば十分に楽しむことができます。ホットプレートを扱いますが、軍手と長い菜箸を使うだけですので、料理や盛り付けのお手伝いができる子であれば全く問題ありません。体験ものとしては90分程度だとあっと言う間に終わってしまいますが、中弛みもなく無駄がないのはとてもスマートです。
ホームページも見やすく、体験ものは服装についての案内があり、写真で参考資料を用意してくれているのも丁寧な対応だと思います。館内は清潔で快適に過ごせます。
茶摘み体験はわりと頻繁にやっていますが、ホットプレートでの茶葉加工に関しては日数や人数も少ないですので必ず予約を。他にもミュージアムでは茶道体験や、抹茶挽き体験などもあり、それぞれが500〜1,000円前後で体験できるのは素晴らしい価格だと思います。別途ミュージアム観覧料は必須でかかりますが、一般が300円で大学生以下、70歳以上障害者手帳をお持ちの方は無料! 一般で入ったとしても300円とは思えない見応えです。団体割り、バリアフリーでもあり施設としてはかなりよく口コミレビューは納得です。
他の体験と組み合わせると1日かけてしまうこともできますし、室内体験ものは天気が悪かった場合のBプランとしても計画しやすいのはメインイベント、サブイベントとしても利用できる施設だと思います。
お土産に関しては、 ななや でおなじみの 丸七製茶 さんがメインのラインナップです。
ななや名物の濃さレベル違いのジェラードは圧巻です。この店舗にしかない限定の味もあります。瓶に入った超高級なものから、各所の茶葉ブランドが揃い、小分け1パックからも試し買いできるまさに茶天国。茶以外のものは若干高く感じますし他でも買えたりするので、ここでははやり茶葉メインで見繕ってよいと思います。
注意点は、カフェや展示室によっては時間が早くクローズするので、目的が明確なら事前に問い合わせるか、サイトなどをよく調べてから計画を立てていただければと思います。ちなみに、茶室を見ようとしたらすでにクローズしてました。。皆さんもそんなことにならぬよう御注意ください。
ちなみに夕飯は大好きな さわやかハンバーグ に寄りました。関東には出店してない、一番近くても御殿場SAにあるレストランはオススメです。
それでは良き茶の旅へ。
問いと選択肢
問い
- 海外産の茶葉を緑茶に加工した時に私たちは風味や味の気づくのか?
- 気候変動があったら静岡はどうなるのか?
- 農家の手伝いは素人でもできるのか?
- ガーデニングでお茶はできるのか?
選択肢
- 海外産緑茶を飲んでみる
- お茶農家の現状や声を調べてみる、聞いてみる
参考文献・出典・注釈
- 項目名
- 茶の都しずおか構想
- 発行元
- ふじのくに茶の都ミュージアム
- 項目名
- 年間約10万tを越え、市場規模は8000億円
- 発行元
- 丸七製茶