今年もこの季節がやってきた – 猛暑と水難に備えて
猛暑の夏。水難の夏。この時期がやってまいりました。2025年版です。
子供は静かに溺れます[※1]。本能的溺水反応[※2]と言います。子供は“水深5cmで溺死”することもあります。数秒で。
ライフジャケットは浮いて遊ぶ遊具ではありません(2021年版参照!)。着ていても岩に挟まったり、引き込まれたら浮き上がれません。救命講習是非受けてください。
大切なので最初に、そして毎年繰り返して言いたいと思います。恒例の水難事故防止投稿です。

水難事故の現状 – 数値で見る危険性
先日は各所で線状降水帯でものすごい雨で、河川の氾濫が目前になったりとやはり自然の力は強いです。今年もすでに各所のレジャーで水難事故により若い命がなくなっています。
今年の6月までのデータでは125人中92人が死亡もしくは行方不明。その率が73%という高い数値になっています。(出典:河川財団)[※3]
2024年のデータによると、毎年同じような数値ですが、水難事故による死亡や行方不明の確率は50%以上でした。お子様が二人いたら・・・どちらかは。。恋人と二人旅行先なら・・・50%という緊張感が必要だということです。
今回の視点 – 安心なのは商品でなく、仕様と使い方が大切?
“これもっていれば安心”と商品名だけ買っていませんか?
必要なのは名前でなく、「アイテムの仕様」と「使い方」が一番大切です。
安さや商品名をだけをとれば、何かが犠牲(足りない仕様)があること、疑うというか「正しく選ぶ」知識と買うだけで安心しない緊張感は必要です。
2025年の安全キーワード
今年のキーワードは以下の3点です。
・ライフジャケットとフローティングベストは違う!
・同じ水でもアイテムの選択は大切
・天候を考慮しよう
ライフジャケットとフローティングベストの違い
子供さんには浮き具をちゃんと持たせていますか?思ったより高くて安い物を買っていませんか?
川で遊んでいる子供を見ると少ないですが、フローティングベスト(シュノーケリングベスト含む)をつけているのを見かけます。しかし実は、ライフジャケットとフローティングベストは別物です。これ“勘違いしてる人が多すぎ問題”です!
そもそも、目的が違います。
・救命胴衣(ライフジャケット) 国交省 桜マークについて
・フローティングベスト
ライフジャケットは、呼吸を確実に確保できる大きな浮力を持ったもので、安全基準[※4]に準拠した国土交通省認定の「桜マーク[※5]」付きなどがあります。
フローティングベストは、浮くための補助具であり、安全基準などに沿っていないが浮力があるから使えるという商品です。確実な呼吸を確保するだけの浮力を持たないものが多い。
浮力の基準[※6]は以下の通りです。
・大人用(40kg以上):浮力7.5kg以上
・小児用(15〜40kg):浮力5kg以上
・幼児用(15kg未満):浮力4kg以上
フローティングベストは安価で動きやすくコンパクトでオシャレなものも多く、選ばれやすいですが、救命具ではありません。泳力がなかったり、身長が低い子供にはライフジャケットが推奨されます。『救命具』と『浮力補助用具』の違いを理解して購入を検討してください。色やデザインだけでなく、機能性を重視しましょう。
川遊びでは浮き輪に頼りすぎない
川で遊ぶときに「浮き輪を持たせてるから安心」と思っていませんか?
川には石や木の枝があり、浮き輪はすぐ穴が開きます。また、空気の浮力がありすぎて足のつかない場所に流されやすく、ベルトも無いためひっくり返ると抜けるなどの危険性があります。[※7]
腰より深い場所に入ること自体が危険です。浮き輪があるかないか、保護者がそばにいるかどうかではなく、深い場所には入らないという意識が大切です。使うアイテムが河川で使える特性か、耐久性は十分か、をしっかり判断してください。
天候の変化にも注意しよう
雨が続く日々、晴れたら水遊びに行きたくなります。気持ちは分かります。でも、雨の後は水量や流れが変化しています。遊びに行く川は毎日同じ状態とは限りません。
出発前に以下をチェックしましょう
・河川防災情報[※8]
・体調
・前日、当日、翌日の天気
・アイテムの安全性と状態
・同行者と時間の確認
家族でルールを決めて、行動前に安全を確認する習慣を。
出来事は一瞬、後悔は一生
ライフジャケットなどの安全具を着用し、大人が必ず付き添ってください。スマホはしまって一緒に遊びましょう。スマホは子供が寝てから楽しんで。SNSに写真をアップしている最中に、事故は起きます。多くの体験者が「まさか、数秒だったんです」と語っています。
それでは、楽しい水遊びを。今年も過去の投稿を見てない方はぜひチェックしてください。
総評
オンラインショッピングは便利で安くなりました。
ただ、モノによっては手に取って見て、機能や仕様、使い方をお店の人に教わるなど買うだけに留まらないプロセスが大切です。
果汁100%でも、濃縮還元とストレートがあるように。名称や数値は表層の情報に過ぎないことというのは日常の生活にもあるので、特に安全や安心に繋がるようなものはしっかりと見定めていきましょう。
装備がないことが危険なのでなく、装備が無いなりの考えを持たないことが危ない。
安い物がダメということでなく、限られた機能や仕様をカバーする利用方法で使うこと。
高い物が安全ということでなく、機能や仕様、想定する範囲内で使うこと。
商品が保証するのは決められた想定内の機能を保証するだけ、安全は誰が保証するのか?
それは自分自身もしくは保護者であるということは何を買っても変わらない。
こういう考え方は野外活動全般共通して言えることですので、意識してみてください。
問いと選択肢
問い
- 安全は誰が保証するのか?
- 浮いて流れる以外の楽しい遊びは?
- 安全装備がない、買わない時の注意点は?
選択肢
- 今持っているアイテムの機能や仕様を確認する。
- 家族で水遊びルールを作る。
- 保護者が現場で見るべきポイントを想定しておく。
参考文献・出典・注釈
- 項目名
- 子供は静かに溺れます
- 発行元
- 日本小児科学会
- 項目名
- 本能的溺水反応
- 発行元
- 教えて!ドクター
- 項目名
- 水難事故の現状(死亡・行方不明率)
- 発行元
- 河川財団
- 項目名
- ライフジャケットの安全基準
- 発行元
- 国土交通省
- 項目名
- 国土交通省型式承認「桜マーク」
- 発行元
- 株式会社オーシャンライフ
- 項目名
- あなたが着用するライフジャケットはどのタイプ?
- 発行元
- 国土交通省
- 項目名
- 浮き輪を過信することは危険
- 発行元
- 河川財団
- 項目名
- 河川防災情報
- 発行元
- 国土交通省